第1回 平成16年(2004年)2月8日掲載

 カワラヒワという鳥


 
 鳥の鳴き声には、地鳴きとさえずりの2種類があります。
 例えばヒバリ。太陽に届くほど高く舞い上がって歌い続けるのがさえずり。地上で小さくビルッとつぶやくのが地鳴き。
 ホオジロの場合は、冬の間は草むらの中でチチッとちいさな声で地鳴きをして、暖かくなると梢で胸を張り、たからかに複雑な美声でさえずり始めます。
 要するに、春から初夏にかけての繁殖の時期に、主にオスが高らかに複雑な声で鳴き、メスを引きつけ縄張り宣言をするのが「さえずり」。それ以外の時期、お互いの位置確認のためなどに鳴く単調で地味な鳴き方を「地鳴き」と言うわけです。
 カワラヒワという鳥がいます。
 スズメと同じくらいの大きさで、住宅地や市街地でも見ることができます。ヒマワリの種も割って食べられるスズメより太めのくちばし、翼の黄色の斑模様が特徴の鳥です。
 世界の分類の上ではカナリアに比較的近いだけあって、地鳴きもキリキリコロコロ、キリリなどと結構複雑できれいな声です。
 ところがこの鳥、これから暖かくなると、電線の上などで、ビーン、ビーンと、極めて単純で、強い声で鳴き始めます。全く別な鳥のような感じです。
 よく聞けば、キリキリコロコロとも鳴いていますが、あまりにもビーンが強いものですから、この鳥だけは、さえずりが地鳴きより単純な声に聞こえてしまいます。不思議なさえずりです。
 暖かい日、ビーン、ビーンと声を張り上げている鳥がいたら、見上げてみてください。その鳥の尾の先がふたつに分かれて見えたら、それがカワラヒワです。
 飛んだ時に、翼が透けるように黄色く見えたら、もう間違いありません。双眼鏡も要らない、町の中でできるバードウォッチングの始まりです。 

読売連載入口に戻る
次に進む