第2回 平成16年(2004年)3月21日掲載

 南米ギアナ高地の鳥


 

今年2月、南米ギアナ高地に行って来ました。切り立った断崖で平地と隔絶された標高3千メートル近い山上には、鳥はいないだろうというのが、日本のバードウォッチャーたちの常識でした。私もそう思っていましたが、特異な自然環境にひかれて出かけたのです。
 ところが、山上でヘリコプターを降りて間もなく、木々の間を動くヒヨドリくらいの大きさの鳥が見えました。霧を通して双眼鏡で見ると、全身は青みを帯びた黒っぽい色、下尾筒(尾の付け根の下面部分)の赤茶色が目立つ鳥でした。初めて見る鳥です。荷物の量に制限があるため、三脚と望遠レンズを山麓に置いてきたのが悔やまれます。
  キャンプ地にたどり着くと、また別な種類の鳥が見えました。これはすぐにわかりました。中南米地域でよく見かけるアカエリシトドというホオジロ科の鳥です。食事のおこぼれ目当てに、数羽、人を恐れず近づいて来ます。
 そしてもう1種類。キャンプ地近くの黄色の花に止まって種をついばんでいたのは、全身に縦縞模様の目立つ茶色の鳥。望遠レンズなしでも撮影できて、後日図鑑と照合、コウゲンタネワリというやはりホオジロ科の鳥のメスであることがわかりました。
 最初に見かけた1種は2日間の滞在中なかなか撮影できず、帰りのヘリコプターが霧のために近づけずに待たされている内、霧が晴れたわずかな合間に、ようやく撮影できました。オオハナサシミツドリというギアナ高地山上にのみ生息する固有種でした。
 現地で入手した資料によれば、私が行ったロライマ山には6種の鳥が生息しているとのこと。その内3種に出会えたわけです。
 さいたま市内を歩いていてはカワラヒワの声に電線を見上げ、世界の秘境と言われるギアナ高地では思いがけない鳥影に目を見張る。バードウォッチャーには、いつでもどこでも、様々な楽しみがあります。


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