第6回  平成16年(2004年)8月26日掲載

 エリマキシギ


 
 

 
  
 
まだ夏の暑さが続く8月に、野鳥の世界では早くも秋の渡りが始まります。さいたま市の西の郊外、荒川河川敷に広がる大久保農耕地には、最近数が減ったとはいえ、シギやチドリの仲間が毎年姿を見せます。
 エリマキシギもその1種です。夏の間北極に近い地域で繁殖し、冬を過ごす南の国に渡る途中、日本に立ち寄ります。
 成鳥オスの夏羽では、頭から首にかけて、1羽1羽色や形の違う飾り羽があり、それが襟巻きのように見えることからエリマキシギと呼ばれるのですが、8月に大久保農耕地で出会うエリマキシギは、写真のように、襟巻きのない冬羽になっています。
 8月に冬羽? 夏に襟巻きがあって、冬にはないなんて、逆じゃないの? ちょっと不思議ですね。
 実は「夏羽」というのは、「夏の繁殖時期に、主にオスがメスに対してアピールするために装う結婚衣裳」のことを言い、「冬羽」というのは、「繁殖時期ではないいつもの時の普段着」のことを言うのです。エリマキシギたちは、北の国で繁殖を終えると、結婚衣裳から普段着に着替えて旅を始めます。ですから、8月に日本に立ち寄る時は普段着、もう冬羽になっているわけです。
 そして、襟巻きは防寒のためではなく飾りの衣裳ですから、暑さ寒さには関係ないというわけです。
 日本ではきれいな襟巻きはなかなか見られませんが、 数年前の春、フィンランドで出会った時には、色様々な襟巻きを膨らませたオスたちが、メスのまわりで飛んだり跳ねたり、盛んにダンスを踊っていました。



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