第7回  平成16年(2004年)9月23日掲載

 ノビタキ


 
  

 「Stonechat!」、ハンガリー人の野鳥ガイドの声が響き、指差した先の草原で、ノビタキが揺れていました。「Stonechat」というのは、ノビタキ の英語名です。日本で見るノビタキと同じでした。なじみのない鳥たちが続くバードウォッチングツアーの中で、見慣れた鳥との出会いに、少しほっとした一瞬でした。
 この鳥は日本を分布域の東の端として、ヨーロッパの西端までユーラシア大陸の広い範囲と、アフリカに生息しています。細かい学問的な分類では地域による違いがあるのかもしれませんが、見た目にはほとんど変わりありません。
 日本では、本州中部より北の高原や北海道の平野部で繁殖します。埼玉県平野部では、春と秋の渡りの途中に立ち寄る旅鳥です。春よりは秋の方がよく見られます。そして、冬を過ごすために暖かい南の国に向かう秋の渡りの季節は、まさに今です。
 今月(平成16年9月)18日の土曜日が、この秋最初でした。さいたま市の荒川総合運動公園から、スポーツ好きの若者たちの歓声が聞こえる中、南側に広がる刈入れが終わった田んぼに、4羽のノビタキが来ていました。
 あぜ道脇の草むらや葦原の葉先などで、風に揺られながら虫を探し、ひらっと飛んで捕らえ、また元に戻ります。ヒタキの仲間に共通するくりっとした大きな目が特徴的です。
 見沼田んぼ、熊谷市大麻生河原、入間川の河川敷など、草原の広がる所で会うことができます。シーズンは10月半ば頃までです。
 私は風が吹き抜けるハンガリーの草原を思い出しながら、ノビタキとの出会いを楽しんでいます。


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