第10回 平成17年(2005年)1月6日掲載

 野鳥の数を数える


 


  北の国から渡ってきた水鳥たちが、夜明け前の水面で休んでいます。何羽くらいいるのかな、少し気になります。
 私は特に調査研究畑の人ではありませんが、それでも、野鳥を見ながら、無意識に数を数えている事があります。いつ、どこで、どんな鳥が何をしていたかに加えて、何羽いたかというのも、観察の大切なポイントだからです。
 数年前のある日、野鳥の会県支部の事務局に、若い男性の声で電話がありました。私達の事務局に専従職員はおらず、仕事の合間にボランティアで電話応対をしているのですが、「道路で車を数える程度なら自分でもできそうです。アルバイトを紹介してください。会員にならなければだめですか」という言葉に、私の頭から疑問符が2〜3個飛び出しました。一瞬間を置いて気がつきました。
 大晦日の国民的行事と言われたテレビ番組に出演していた事から「野鳥の会は数を数える人達」というイメージが定着しているらしいのです。この場合はその逆「数を数える人達は野鳥の会」で、交通量調査の仕事は野鳥の会の会員がやっているものと思い込んだわけです。丁寧に説明し、受話器を置きました。
 こんな誤解はともかく、野鳥観察と数を数えるという事に関係にあるのは事実で、無意識に数を数える習慣も、私だけではないようです。ある時、南アフリカの平原を車で走っていて、延々と続く長い貨物列車とすれ違いました。同乗していた日本人バードウォッチャーが突然無口になりました。しばらくしてから、ぽつんと「216」。
 つい、くせで、車両の数を数えていたと言うのです。大笑いでした。   彼は私より重症でした。     


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