第12回 平成17年(2005年)3月10日掲載

 トラツグミ


 
  

 2月20日(日)曇り
 先週トラツグミがいた広場に、それ目当てのカメラマンたちが20人以上集まっていた。顔見知りは少なく、多くは県外から来ているようだ。バードウォッチング人口を増やすことが自然保護に繋がると、鳥のことやこの公園のことも本に書いてきた私だが、こんなに人が増えると、心中少し複雑。我ながら勝手なものだと思いつつ、トラツグミはもう十分に撮影しているので、離れたところに椅子を据えた。
 ツグミ、シロハラ、アカハラ、3種の大型ツグミ類がいる。3種とも県内平野部には冬だけ滞在し、暖かくなると姿を消す。ツグミは大胆に広場の中央付近を歩き、シロハラはそれより藪の近くにいる。アカハラは最も内気、すぐに藪の中に逃げ込んでしまう。
 モズのメスが、目の前の枝にとまった。あまり近かったので、枝に止まる音が、「とん」と聞こえたような気がした。カメラを向けたら、顔だけの画面になってしまった。
 気がついたら、カメラマンたちがこちらを見ている。トラツグミが私のそばにいた。もう十分と思っていたけど、みんなから離れた私のところにわざわざ出てきたのだ、これは写してやらなければ。
 腰を上下に振り、その振動に反応したミミズを見つけ、さかんにぱくついている。夏の夜不気味な声で鳴き、怪物「ヌエ」の正体と言われる鳥だが、その採餌行動を間近に見ると、怪物というより、まるで小さな恐竜だ。結構迫力がある。
 肉食の超ミニ恐竜は、これまた「顔だけの距離」にまで近づき、向きを変え、藪の中に姿を消した。


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