第17回 平成17年(2005年)10月20日掲載

 ガマヒロハシ


 
 

 寒さが近づいている季節に、暑い国の鳥を思い出しました。
 マレー半島の国マレーシアに、太古から続いている密林があります。タマン・ネガラ国立公園です。陸路で近づくことはできません。10 人程度が乗れる細長いエンジン付きボートで、広い川を1時間以上も上流にさかのぼり、たどり着きます。川岸から階段を上った所にあるホテルに滞在し、周辺の森林や、そこから更にボートででかけるいくつかのポイントを訪れました。
 日本では見ることができない鳥ばかりです。例えば、ヒロハシの仲間。アフリカと南アジアに分布していますが、日本にはいません。  
  特徴は広いくちばし。日本名の「ヒロハシ」は「広嘴」ですし、英名の「Broadbill」というのも、「広いくちばし」という意味です。世界に14 種います。私たちは、その内の3種に会うことができました。
  中でも印象的だったのが、このガマヒロハシ。くちばしが大きく、淡い赤色で、ヒロハシの特徴をよくあらわしています。
 もともと、視界をさえぎる密林の鳥は、見るのも難しいのですが、特にこの鳥は、高い樹冠から樹冠を飛び回っていて、見ることはできたけれど撮影は無理と、あきらめていたところ、頭上近くの枝に一瞬とまってくれました。  
  年間を通じて同じ様に暑い気候が続き、密林で様々な鳥たちが生きているタマン・ネガラ。一方日本では今、木々が色づき、渡り鳥が移動し、やがて冬が来ます。
  私は時々、日本を旅している他国のバードウォッチャーの気分で、周囲を見まわします。そうすることで、日本の自然の大切さを、また別な面から実感することができます。


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