第21回 平成18年(2006年)3月23日掲載


 

この冬のツグミ事情

 

 この冬は寒い日が続き、いかにも冬らしい冬でしたが、野鳥の世界では、まったく冬らしくない冬だったのです。毎冬渡って来る冬鳥たちが、さっぱり来てくれませんでした。例としてツグミ=写真=を取り上げましょう。翼を少し下げて胸を張った独特の姿勢で地上を歩いているのをよく見かける、代表的な冬鳥です。
 昨年11 月には少し見かけたのですが、その後一向に数が増えません。県内だけではありません。野鳥の会は全国でサンクチュアリという施設を運営していますが、調査した福島、姫路、福岡の3施設で、12 月から1月まで、例年より観察頻度が少ないという結果が出ました。なぜでしょう。
 2月に、北海道オホーツク支部の会員と話をする機会がありました。そこにヒントがありました。 「この冬は街路樹の実なりが大変良く、ツグミ達がその実を食べていて、なかなか南に渡って行かなかった。最近になってようやくいなくなった」と言うのです。
 昨年の夏から秋にかけて暑い日が続いたことを覚えていますか。北海道で も、8月から10 月にかけて、月平均気温が例年より高い月が続いたというデータがあります。実りの季節の気温が高かったので北の国の木の実が多く出来、それを食べていたので、なかなか南の方まで渡って来なかったということが、ひとつの可能性として考えられるわけです。もしもそうであれば、ツグミの飛来に影響したのはこの冬の気象ではなく、昨年夏から秋の気象だったということになります。  
 県内で、2月に入ってようやくツグミの姿を多く見かけるようになった事
も、それを裏付けているように思われますが、はたして真相はどうなのでしょう。

           

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