第22回 平成18年(2006年)4月20日掲載


 

ヒレンジャク

  

 漢字で「緋連雀」と書きます。良く似ていて尾の先が黄色のキレンジャク
「黄連雀」という鳥がいます。それに対してこちらは尾の先が赤いので、「緋色の連雀」というわけです。スズメより少し大きく、ずんぐりした体形です。 夏はシベリア南東部で繁殖し、朝鮮半島や中国の一部、日本で冬を越しま
す。日本では西日本に多く飛来します。極東地域にしか生息しないからでしょうか、英語では「ジャパニーズ・ワックスウイング」という名前がついています。
 県内には、春、シベリアに帰る途中に立ち寄ります。さいたま市の秋ヶ瀬公園は、首都圏で定期的にヒレンジャクを見られる場所として、本などでも紹介されています。この春は多い時で20 〜30 羽飛来し、数十人がずらりと三脚を並べる騒ぎになりました。
 ヒレンジャクがいる所には、ヤドリギが茂っています。その黄色の実が、ヒレンジャクの好物です。お腹に詰められるだけ詰め込んで、枝の上でひと休み。やがて排出される粘着性の糞の中に含まれているヤドリギの種子が下の枝に付着すると、その枝に根づきます。ヤドリギは、ヒレンジャクに実を食べられることによって子孫を残すことができる、寄生木です。
 では、ヒレンジャクが飛来する時期に合わせて実が熟するのでしょうか。それとも、実が熟するのに合わせて、ヒレンジャクの渡りの時期とコースが決まるのでしょうか。鶏と卵みたいな話ですが、いずれにしても、その絶妙のタイミングには感心してしまいます。
 シベリアも含めた広く複雑な年間サイクルを考えると、自然の仕組みは実にうまく、しかも実に繊細にできているものですね。

           

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