第24回 平成18年(2006年)7月6日掲載


ケープハタオリ

 南アフリカのケープ地方、ロンドブレイ自然保護区で、1羽の小鳥がもがいているのを見つけました。なんと、右足が草の葉で枝に縛り付けられていま
す。さあ大変、事件でしょうか、事故でしょうか。
 数秒後には、なんとか足を振りほどいて脱出に成功。ああ良かったと思っていると、また草の葉をくわえてきて、同じ枝に巻きつけ始めました。右足でしっかり枝と草の葉をつかんで、くちばしで草の葉を編み込むようにしていま
す。おやおや、自分の足まで縛っています。なんと犯人は被害者本人、事件ではなく、いわば「自己責任の事故」だったのです。
 ハタオリドリという鳥がいます。主にアフリカに分布していて、草の葉を編んで、「機を織る」ように丸い巣を作ることから、その名前がついています。 写真の鳥は、南アフリカの固有種、ケープハタオリのオス若鳥です。もうお分りですね。この子は、巣を作る練習を始めたばかりなのです。まだどうやったら巣を作れるか分らず、あれこれ試行錯誤の最中で、つい自分の足まで縛ってしまうのです。
 今の季節の日本の鳥たちも、それまで親から餌を貰っていた幼鳥が、次々と親離れをしています。これからは自分で餌を取る方法、雨風が強いときに身を守る方法、鳥によっては、渡りという難題もあり、さらに生長したら、異性にアピールしたり、巣を作る方法など、次々と覚えなければなりません。アフリカの鳥も日本の鳥も、おとなになるということは、本当に大変なことです。
 日本のスズメは、実はハタオリドリ科に分類されています。機を織らないハタオリドリなんです。
           


参考写真

新聞紙上には掲載できませんでしたが、
成長すると、こんなに上手に巣が作れるようになります。

 


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