第27回 平成18年(2006年)10月19日掲載


ヤマガラ

 

 夏の間さみしかった林の中に、秋になった今、小鳥たちが増えました。穏やかに晴れたある日、林の中に三脚と椅子を据えて、居眠りしていました。
 シジュウカラの群れが賑やかに枝から枝に移って行きます。背後からはメジロたちの声が聞こえます。コゲラの声もして、これらの鳥たちが混群を作る冬も間近だなとぼんやりと考えていると、ニーニーニー、鼻にかかったような声が聞こえ、目が覚めました。
 目深にかぶった黒い帽子、粋に着込んだ赤褐色のベスト、ヤマガラです。2羽います。古来、歌にもうたわれ、身近な小鳥として愛されてきましたが、年中生息しているシジュウカラに対し、ヤマガラは、県南低地にあるこの林では、夏の間は姿が見えません。秋になると戻って来て、冬を過ごしますが、数も少なく、いつでも簡単に会えるというわけではありません。
 年により、越冬個体数の多少にも変化があります。この秋は、いつもより見かける数が多いようです。秋に数が多いということが、そのまま冬にも数が多いということにはつながりませんが、期待はできますね。
 ファインダー越しに見ていると、小さな木の実を隙間に押し込み、また取り出して入れ直したりしています。「貯食」という行動です。餌が少なくなる季節に備え貯食しているという事は、少なくともこの個体は、この林で冬をすごそうとしているのでしょうか。ようやく気に入った貯蔵ができたらしく、満足そうに飛び去りました。
 今年も季節は静かに過ぎて行きます。バードウォッチングを始めていつのまにか30 年以上過ぎました。秋は秋、冬は冬、季節の移ろいには、いまだに楽しみがいっぱいです。


           

 


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