第28回 平成18年(2006年)11月16日掲載



シジュウカラ

 林の中の浅い水たまりを見通す位置でゆっくり待っていると、シジュウカラ=写真=たちの声が賑やかに近づいて来ました。やがて、数羽が次々と水面に降り、盛大に水をはね散らしながら、水浴びを始めました。
 小鳥たちにとって大切なのは、「餌」「水」「安心して休める場所」。人の「衣食住」に当てはめると、「餌」が「食」、「安心して休める場所」が
「住」に相当するのは当然として、「水」が「衣」に深く関係すると言った
ら、意外に感じませんか。水は、飲むだけではありません。頻繁に水浴びをして、羽につく虫や汚れを落とし、清潔に保たなければ、体温を保つことも、ひどい時には、飛ぶこともできなくなってしまいます。ですから水浴びは、命に関わる大切な「衣」の手入れなのです。
 水を飲むのに深さは関係なく、水面近くにとまる場所があれば、飲むことはできます。でも、水浴びが出来る場所というと、条件が難しくなります。深すぎず浅すぎず、おなかすれすれぐらいの深さ、小鳥類の場合は、数ミリから1センチ程度でしょうか。ある程度の広さや、危険を感じたらすぐに逃げ込める藪が近くにあることも重要です。
 雨が降ったり晴れたり、林の中の水面は、いつも変化しています。良さそうな水たまりが見つかると、私は少し離れた所に椅子を据えます。運が良ければ、何種類もの鳥たちが寄って来ます。 
 見慣れたシジュウカラたちも、ひときわ生き生きしています。翼を水につけて大きく振ります。水滴が飛び散ります。何に驚いたのか、いっせいに飛び上がり、藪の中にかくれました。藪の中でつぶやきながら、羽づくろいをしています。


           

 


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