第32回 平成19年(2007年)4月12日掲載



ツバメ


 この写真は、南の国に渡って行く直前、秋のツバメです。通常11月中旬ごろまでには渡って行き、姿が見えなくなります。そして今また、たくさんのツバメが戻って来て、飛んでいます。3月中旬から4月上旬ごろにかけて、例年通りの春の渡りでした。
 最近、ツバメの巣が落ちてしまうという話をよく聞きます。かつては住宅街の近くに水田が広がり、よく耕やされた粘り気のある土が豊富にあって、それを巣の材料に使えました。最近は身近な水田が減り、水田以外の土を使わなければならなくなったので、落ちやすくなったのだという説を、聞いたことがあります。論文だったか推測の話だったか覚えていませんが、ありそうな話だと記憶に残っています。
 水田と野鳥との関係は、深いものがあります。水田をかすめ飛ぶツバメの姿は、まさに心安らぐ日本の原風景ですし、秋、南の国に渡る前には、水田近くのアシ原に数百羽、数千羽の群れが集まります。昨年9月14 日付け本欄でご紹介したシロハラクイナは、自然豊かな水田がなければ、生きられません。サギ類はバッタやカエルなどを食べ、シベリアと東南アジアを結ぶ旅の途中に立ち寄るシギ・チドリには、水田が大切な食堂付き休憩所です。
 シロハラクイナの保護にご協力いただいた農家のTさんの呼びかけで、私たちは水田と野鳥との関係を見直す一環として、農家と野鳥の会で米作り体験イベントを始めました。ツバメが飛び交う水田で、今年は何人かの野鳥の会の会員とその家族たちが、田植え、草取り、稲刈りに汗を流します。 

 


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