第35回 平成19年(2007年)7月12日掲載


ワシミミズク


 エジプトの首都カイロから西南方向約20 キロ、ナイル川西岸の砂漠に、古王国時代第3王朝2代目ファラオ、ジョセル王のピラミッドがあります。世界最古の石造建築物と言われるサッカラの階段ピラミッド。そのどこかに、1羽のワシミミズクが住みついているという記述を、日本から一緒に出かけた野鳥研究家が、ある本の中に見つけました。
 具体的な場所が書かれていないので、ささやかな推理を試みました。砂漠の暑さを考えれば、それをできるだけ避けようとするに違いないというのが出発点です。エジプトは北半球にありますから、太陽は日本と同じ南側に位置します。日差しを避けるには、やはり北側の面が有利でしょう。次に、北側面のうちの東側か西側かを考えると、日中の気温が高くなった後で西日に照らされるより、夜の間少しでも気温が下がった状態で朝日に照らされる方が、多分少しはましでしょう。高さはどうでしょうか。天辺の方は暑くなりそうだし、地面に近すぎると毎日たくさん押し寄せる観光客がじゃまでしょう。ということで「北東角近くの中腹部分、日差しを避けられる穴のようなものがあるところ」と考え、いろいろな言葉がにぎやかに行きかう中、ピラミッドをひと回りしたら、やはり思ったとおりのところで、ワシミミズ1羽が、大きな目をあけ、超然と人々を見下ろしていました。 
 エジプトの暑さはとても乾いていて、肌に突き刺さります。一方、日本や東南アジアの暑さは湿っていて、肌にまとわりつきます。世界の様々の暑さに耐えて、鳥たちは、それぞれの知恵を働かせて生きています。

 

 


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