第39回 平成19年(2007年)12月8日掲載


クイナ


 9月27 日の本欄で、南国の珍鳥シロハラクイナが2年連続子育てしたことをきっかけに、農家のTさんと野鳥の会につながりが生まれたことをお伝えしました。今回は、その続報です。
 通常の農作業では、稲刈りの後、乾燥した田んぼを耕す田起しの作業を行います。その結果、田んぼ一面に乾いた土が広がり、野鳥の姿も少なく、生物層が薄い景色になります。一方で、渡り鳥の保護のため、冬の間も水をため続ける「冬水田んぼ」という農法を実践している地方もあります。今秋、Tさんらのご協力を得て、野鳥の会の会員が米作りを体験した神子田(みこだ)に、稲刈り後また水を入れ直す「秋水田んぼ」の実験を行いました。
 水入れは稲刈りを終えて3週間目の9月24 日。水入れ後の3週間、水との関係が考えられる鳥のうち、少なくなったのはヨシゴイなど4種、増えたのはタシギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギの4種、増減変化なしはハクセキレイなど5種でした。少なくなった4種は秋にはいなくなる鳥ですから、水入れとは無関係の減少です。増えた4種は、秋水田んぼの効果によるところが大きいと言えます。
 水入れ後に新たに観察されるようになった鳥が1種います。クイナ=写真=です。シロハラクイナに近いけれど、違う種の鳥です。関東以南では秋になると飛来して冬の間滞在する渡り鳥なので、季節変化のひとつとも言えます。ただ、水がなければ生息できない鳥ですから、秋水田んぼ実験の成果を示す、シンボル的な存在と言っていいでしょう。土手の上から神子田のクイナを探しながら、Tさんやご近所のKさん、Yさんらとあれこれ話をするのが、秋の間の私の鳥見スタイルでした。

 

 


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