第41回 平成20年(2008年)2月28日掲載


サシバ


 2月中旬、沖縄本島北部、やんばる地区を中心に、鳥見の旅に行ってきました。ご存知のヤンバルクイナ、日本ではまれにしか観察されない珍鳥コバシチドリ、リュウキュウイノシシの子など、様々な出会いがありましたが、タカの仲間、サシバという鳥の動きも、印象に残りました。
 山裾せまる畑や水田地帯を車で走っていると、「ピックイー」という声が響きます。車を止めて見回すと、上空を低く舞ったり、山の斜面の目立つ梢にとまっているサシバがいます。時には2〜3羽いることもあり、カエルなどの餌を探していました。
 サシバはハシボソカラスくらいの大きさ。日本では夏の間、山形県から九州までの低山の森林で子育てをして過ごし、9月末から10 月初旬に群れを作って南の方に渡ります。埼玉県でもその季節には、飯能市の天覧山などで、次々と南の空に消えて行くサシバの群れを見ることができます。遠くスマトラ島やニューギニアまで行くのもいますが、一部は沖縄で越冬します。
 現地の野鳥ガイドの話では、冬の間やんばる地区でサシバを見ることは少なく、毎年2月に入ると、急に数が多くなるとのこと。私たちが出会ったのは、沖縄本島南部か更にその南の島々で冬を越し、本州に渡る準備のためやんばる地区に集まり始めたサシバたちだったのでしょう。
 野鳥の会県支部が毎月発行している機関誌『しらこばと』の記録によると、昨年は4月17 日さいたま市内でサシバが観察されています。ひと足早く飛行機で帰って来た私は、サシバたちが自分の翼で飛んで来る日を待っています。南の方から、春の気配が近づいています。

 



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