第44回 平成20年(2008年)6月20日掲載


カラフトアオアシシギ

 6月のある日曜日、千葉県ふなばし三番瀬海浜公園の海岸で、潮干狩りの開場を待つ人たちとは別の方向を見ている、一群の人々がいました。そこには、特に珍しい形でも華やかな色彩でもなく、目立たない1羽のシギがいました。 
 カラフトアオアシシギと言って世界的に数が少なく、環境省レッドデータブック絶滅危惧TA類種(ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種)、日露渡り鳥条約・日中渡り鳥協定指定種など、数々の保護の対象になっている鳥です。 
 名前のとおり樺太で繁殖しマレー半島などで越冬、その間を行き来する旅の途中、まれに日本に立ち寄ります。私はほぼ20 年ぶり2度目の出会いでした。 
 
釣り、カヌー、バーベキュー、様々な人たちが遊んでいるかたわらで、絶滅が心配される渡り鳥が、網の上で眠り、他のシギたちと飛び、浅瀬でカニを食べていました。 
 今年の秋開催される第10 回ラムサール条約締約国会議のテーマは「健康な湿地、健康な人々」。三番瀬はまだラムサール条約の登録湿地になっていませんが、まさにそのテーマどおりであってほしい干潟であることを、1羽の地味なシギの存在が物語っていました。

 

 



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