第55回 平成21年(2009年)6月4日掲載


キジ

 5月、水田とアシ原が混在するような場所では、オスのキジのなわばり宣言がさかんでした。「ケンケーン」と鳴き、「ドドドド」と羽ばたく音が続きます。これを「ほろ打ち」と言い、鋭く突き放すような鳴き声と羽音から、「けんもほろろ」という言葉が生まれたと言われています。
 ある日、木陰に椅子を据えて1羽のキジのほろ打ちを何度もビデオ撮影し、1秒30枚ずつのコマ送りで分析してみました。最初の「ケン」の時も小さく何回か羽ばたき、一旦翼をおさめ、2声目の「ケーン」の後には、打ち下ろす翼の力で体が後退しそうなほど強く羽ばたきます。その時は平均0.66秒の間に7.90回、つまり約3分の2秒の間に8回くらい羽ばたくということがわかりました。1秒30枚ずつ見ているわけですから誤差はあるかも知れませんが、それより少ない数にはならないはずです。
 試しに指でできるだけ早いリズムを刻んでみました。3分の2秒間ははかりにくいので、5秒間で60 回に挑戦・・・・私にはとても無理でした。分っても世の中にはなんの役にもたたない数字ですが、ちょっとした自然のすごさの一端を、垣間見せてくれるようです。

 



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