第56回 平成21年(2009年)7月2日掲載


ゴビズキンカモメ

 「ゴビ」は、地名もあらわしますが、モンゴル語で砂礫を含むステップ、つまりある種の砂漠も意味します。ゴビズキンカモメ=写真=という鳥がいます。「ゴビ地方の頭巾カモメ」、「砂漠の頭巾カモメ」、どちらでしょうか。カモメと言えば海のイメージなのに、いずれにしても海とは程遠い名前です。
 道路もないモンゴルの平原を車で走る旅の途中、ある湖のほとりで、そんな不思議な鳥に出会いました。吹き渡る強い風のなか、水辺を歩いて餌をついばみ、時には風に乗って軽々と飛んでいました。ユリカモメより大きく、成鳥夏羽は黒いズキン、目の上下の大きな白斑、赤黒いくちばしなどが特徴です。1963年にようやく世界の学者にひとつの種として認められましたが、越冬地などの生態はまだ詳しくわかっていません。世界中の生息数がたった1万2千羽程度と推測され、日本で観察された例も大変少ない鳥です。 
 撮影を終わり、首都ウランバートルに向いました。風はますます強くなって砂嵐状態。その後一転して雪が降り始め、たどり着いたホテルから見る景色は、冬になっていました。5月末のことでした。 

 



読売連載入口に戻る
前に戻る
次に進む