第60回 平成21年(2009年)11月5日掲載



チョウゲンボウ

 強い北風が吹きつける土手の上で上昇気流に乗り、まるで凧のように空中に浮かんでいた鳥が、突然急降下して草陰で何かを捕らえ、近くの畦に運びました。鳥はチョウゲンボウ=写真=、捕らえられたのはどうやらモグラのようです。
  「チョウゲンボウ」、変な名前です。漢字で「長元坊」と書きますが、名前の由来はよくわかりません。北関東のある地方でトンボのことを「ゲンザンボウ」などと呼び、チョウゲンボウが空高く飛ぶ姿がトンボに似ているから、という説もありますが、どうもぴんとこない話です。全長30 センチ強くらい、キジバトほどの大きさ、目が大きく尾が長いハヤブサ科の鳥で、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに広く分布、日本でも全国で見られます。都市のビルなどで子育てをすることもある、割と身近な留鳥で、ハタネズミやモグラ、小鳥類、昆虫などを好んで食べます。
 不覚にも土手下で捕えられ、思いがけなく空中飛行をしてしまったモグラは、周囲を警戒しながら食べるチョウゲンボウのお腹の中におさまり、飛び去った後に残されたわずかなものも、やがて何かの生命に組み込まれます。

 



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