第69回 平成22年(2010年)8月19日掲載


ヤイロチョウ

 漢字で書くと「八色鳥」=写真=。茶褐色の頭に黒褐色の頭央線、眉斑が黄色で幅広い過眼線が黒。背と翼は青緑色、肩と腰が鮮やかな青、胸や腹は淡褐色、そしてこの写真ではよく見えないけれど下腹から尾の裏側が鮮紅色。これでもう八色。細かく見れば色の数は限りなく多くなるでしょう。実は  「八色」は「八つの色」のことではなく「多くの色」を意味する言葉であると言われます。どちらの意味でもその名の通り、華やかな色彩の鳥です。日本にはまれな夏鳥として飛来、山奥のよく繁った森で子育てをしますが、生息できる場所は大変少なくなってしまいました。埼玉県では1973年6月、秩父市内で校舎に衝突死して拾われた1羽が、唯一の記録です。
 台湾のある村では、地域を挙げてヤイロチョウの保護に取り組んでいます。今年6月その地を訪れ、現地の状況に詳しい野鳥ガイドの指示に従い、断続的に合計7時間待ち続け、なんとか撮影したのがこの写真です。その保護区で今年子育てに成功したのはひとつがいだけ。ここでもヤイロチョウの数は急減しているようです。「森の妖精」とも言われるこの鳥は、いつか世界中の森から姿を消してしまうのでしょうか。

 



読売連載入口に戻る
前に戻る
次に進む