第70回 平成22年(2010年)9月16日掲載


ツメバケイ

 今まで出かけた国で暑かったのはと考えると、南米ベネズエラ内陸のリャノス(オリノコ川流域のサバンナ草原)が、記憶に残る地域のひとつでした。
 滞在したのは、エコツーリズムを受け入れている大規模な牧場。まだ涼しい日の出の時間に、観察用トラックに乗り、常駐する動物学者の案内で出かけます。色とりどり大小様々な鳥がいる中で、ある川岸には、ツメバケイ=写真=が群れていました。全長60 センチ以上になる大型の鳥で、孵化後2〜3週間までの雛の翼には、爪が生えています。肉厚の木の葉を常食とし、飛ぶ力は弱く、鳥の進化の一段階を想像させます。しかし、これらは樹上での生活に適応した2次的な形質であると考えられるようになり、原始的な鳥という説は否定されています。分類上ではキジの仲間に近いとか独立した分類にすべきとか、様々な学説があります。まだ分らないことの多い鳥です。
 容赦ない暑さがすべてを支配する昼間は涼しい部屋で昼寝などして過ごし、日が傾いてからまたトラックに乗ってでかけます。2010年夏日本の暑さで、不思議な鳥ツメバケイのいた、1999年リャノスの暑さを思い出しました。

 



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