第71回 平成22年(2010年)10月14日掲載


ヒヨドリ

 俳句の季語、晩秋の部を見ていたらヒヨドリ=写真=が入っていて、首をかしげました。あまりそれらしさが感じられないからです。ヒヨドリは季節により一部渡りをします。夏の間は比較的数が少なく静かになり、秋になると戻って来てまた騒がしくなります。その変化をとらえ、季語としたのでしょうか。それとも秋の実りを賑やかに食べる姿からでしょうか。
 全長28 センチ、細めの体型、数羽の群れでヒーヨヒーヨとやかましく鳴き交わします。日本とその近くに生息、日露渡り鳥条約指定種ですが、例えば、冬の間庭の餌台で小鳥たちに給餌する人たちには、評判の良くない鳥です。ヒヨドリが居つくと餌台を独占して大騒ぎ、他の小鳥たちを追い払ってしまうからです。どうもこの鳥は、あまり珍しくも可愛くもなく、うるさくてなんでもよく食べるやつという印象なのです。
 昔々のある日私は、住宅街の電線にとまるスズメより大きな鳥がヒヨドリであることを知り、山奥にいるものと思っていた鳥が身近にいることに驚き、野鳥に関心を持つようになりました。いろいろ言われてしまうヒヨドリですが、私にとっては、野鳥の世界へのきっかけになった鳥です。 

 



読売連載入口に戻る
前に戻る
次に進む