第76回 平成23年(2011年)3月10日掲載


アオジ


 3月に入ると、野鳥の世界でも春の気配が濃くなります。寒い冬の間は「冬羽」と呼ばれる地味な羽色で過ごしていた鳥たちが、近づく恋の季節を前に、「夏羽」と呼ばれる結婚衣裳に変わり始めます。
 やぶの中から時々地面に出て来て、ひっそりと草の実などを食べていたアオジ=写真=も、いつの間にか胸の黄色が鮮やかになっています。子供たちと一緒に初めてバードウォッチングに出かけたAさんご一家は、望遠鏡でゆっくり見ることができたアオジの黄色に魅せられ、それ以来、A家で最も人気のある鳥は、アオジであるとか。特別派手ではないけれど、よく見れば惹かれてしまう色です。その気持ちはよく分ります。
 スズメとほぼ同じ大きさ、夏の間は本州の標高の高いところや北海道などで子育てをして、冬、本州中部以南の暖かい地方に移動します。県内平野部や低山帯では、その時期によく見えるわけです。
 この後気温が上がり続けると、繁殖地に帰りはじめます。その直前には、目立つ枝の先などに上がって胸を張り、「チョッピーチョッピーチリリ」とゆっくりとしたテンポで、つややかなさえずりを聞かせてくれることがあります。

 

 



読売連載入口に戻る

前に戻る

次に進む