第77回 平成23年(2011年)5月26日掲載


キガシラシトド


 4月初め、春風が吹く見沼田んぼの一角に、大きな望遠レンズをつけたカメラの三脚を並べるおじさんたちが目立ちました。通りがかった人たちが、不思議そうに見て行きます。たまたま道路近くにいた私に話しかけて来たご婦人に「キガシラシトドという珍しい鳥がいます」と答えたら、「キガシラドリって言うのがいるんですって」とお仲間に話していました。少し違うけど、まあいいか。「シトド」なんて言葉、初めて聞いたでしょうから。
 「シトド」は、ホオジロ類を示す古い言葉、つまりこの鳥名は「黄色の頭のホオジロ類」という意味。北米大陸の西部に生息し、夏はアラスカまで、冬はメキシコまで移動します。日本には渡りの際に間違って飛んで来るまれな「迷鳥」です。当会の記録によれば、県内では今回が初の確認記録です。私は前にカナダ西海岸で間近に見ています。太平洋を隔てた埼玉で活発に動きまわる姿を観察しながら、遠い北米西海岸の風土を思い出していました。 
 その後姿を消してから1ヵ月以上が過ぎ、君は今どうしてる? 東北地方のどの地域を北上した? アリューシャン列島に沿って東に飛び、もう生まれ故郷で、ヒナに餌を運んでいるか? 

 



読売連載入口に戻る

前に戻る

次に進む