第79回 平成23年(2011年)7月21日掲載


アンデスカオグロトキ



 日本から南米ペルーを訪れた探鳥旅行グループは初めてということで、ペルー政府観光局から歓迎されました。6月初旬、私はその一行のひとりとして、海岸から山の上まで探鳥をして来ました。最も標高が高かったのは4,300m、アブラマガラ峠付近です。富士山より高く空気がずっと薄い環境なのに、雪解け水で湿った地面を草が覆い、花が咲き、アンデスカオグロトキ=写真=が当たり前のように飛んでいました。撮影機材をかついだ私は少し歩いては立ち止まり、荒い呼吸をくりかえします。私だってここで生まれ育ったら、普通に歩けるんだぞ、飛ぶのはちょっと無理だけど、などとつぶやきながら。
 トキの仲間(トキ亜科)は世界に27 種いますが、長く湾曲したくちばしが共通しています。アンデスカオグロトキは全長74 〜75p、日本のトキとほぼ同じ大きさです。
 南半球ですから、当時は晩秋。冬が来るとさすがにそんな高い所では生きられず、鳥たちは低い所に移動します。近づく旅に備え、一心に餌をついばんでいたわけです。今、冬が来たあの峠は雪に覆われ、白い世界になっているのだろうなと、猛暑の日本で時々思い出しています。

 



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