第85回 平成24年(2012年)2月3日掲載



トモエガモ


 昨年1220 日、さいたま市の見沼自然公園でカメラマンたちの注目を集めていたのはトモエガモ=写真=。オスの独特の顔を「ともえ」と呼ばれるうずまき模様に見立て、その名がつけられた。後頭部は光沢のある緑色に輝いて美しい。散歩で通りかかった人たちも興味深く見て通り過ぎる。
 トモエガモだけで数千、数万羽の群れを作る習性があり、一斉に飛ぶ様子は雲が動くようだと言われるが、今の日本ではそんな大群を見ることはできない。古名「あじ」、江戸時代には「味鴨」と呼ばれ、その名の通り味が良いことから乱獲された。ある書物によれば、「日本西南部で3人で推定5万羽捕獲」、「1日1万羽捕獲」などという記録も残されているとか。今、当会が毎年1月に実施している県内カモ科調査では、2009年11 羽、2010年5羽、2011年34 羽と、微々たる数字になっている。
 夏の間シベリア東部からカムチャッカ半島で繁殖し、冬は朝鮮半島・日本・中国南東部に渡る。今回撮影されたこの1羽は、脇腹にうろこ状の幼羽が見えるので、その年生まれの若いオス。数日後の風の強い日に、いずこかに飛び去った。
 環境省レッドデータブック絶滅危惧U類種。 

 



読売連載入口に戻る

前に戻る

次に進む