第87回 平成24年(2012年)3月29日掲載



カンムリカイツブリ


 冬がゆるんだ3月、さいたま市・戸田市などにまたがる彩湖を1ヵ月ぶりに訪れたら、カンムリカイツブリ=写真=が夏羽に変身していた。2羽向かい合い、求愛ダンスのようなことも始めている。「夏羽」というのは、もう何度も本欄で書いたけれども、春から初夏にかけての繁殖期に向けてよそおう婚姻衣装のこと。だからもう3月から「夏羽」になる。
 同じ鳥が、昨年11 月には、右上写真のように「冬羽」だった。床屋に行ったばかりのようにすっきりした髪形と顔つきだ。それがその後床屋に行ってなかったらしい。黒々とした髪の毛は今やツンツンボサボサ。もみあげからひげは赤黒くたれさがるほどで、なんとも見苦しい・・・・なんて言ってはいけないか。これが彼らの、雌雄同じ、精いっぱいのおしゃれなのだから。
 全長最大60センチほど。カイツブリ類の中で日本最大。世界でも2番目の大きさ。国内では青森県などで少数繁殖しているが、大部分は冬鳥として飛来、春になると北に帰る。日露渡り鳥条約と日中渡り鳥条約の指定種。県内では彩湖のほか、所沢市狭山湖、加須市渡良瀬遊水地、本庄市利根川などの広い水面を、冬の間、点々と白く彩る。

 



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