第91回 平成24年(2012年)8月23日掲載



ササゴイ


 笹の葉に見える羽模様から「ササゴイ(笹五位)=写真=」と呼ばれる、ゴイサギの仲間の鳥がいる。水辺で見かける夏鳥の代表格だ。今年も、曇り空の天気予報が出た1日を選び、いつもの場所にでかけた。日陰がない川岸なので、真夏の日照りはつらいのだ。 
 川を横断する堰の片側に、魚が上流にのぼれるように魚道が設けられている。ササゴイはそこにひそんでいる。体を低くしてじっと待つ。突然体を伸ばし水しぶきを上げる。くわえられた魚は「あ、よせ、こら、離せ」と暴れるが、のどの奥に放り込まれ、やがてササゴイの命の一部になってしまう。魚のための施設を利用した、魚にとっては悪魔のような鳥だ。その景色を夏の楽しみのひとつにしている私も、魚にとっては悪魔の仲間かな。地方によっては、パンくずなどをまき餌にして水面に浮かべ、近づく小魚を捕える行動が観察されているが、ここで小細工は必要ない。豪快に漁をしている。
 全長40 センチ前後。ゴイサギよりひとまわり小さい。4月ごろ飛来し、水辺近くの林で数つがいが集団営巣、子育てをする。餌場ではキューと鳴き、なわばりを争う。10 月頃には南の国に帰り、姿を消す。



 



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