第93回 平成24年(2012年)10月18日掲載



ハジロクロハラアジサシ
クロハラアジサシ



 まるで呪文のような鳥名だ。漢字で書けぱ「羽白黒腹鰺刺」(以下ハジロ)=写真手前=と「黒腹鰺刺」(以下クロハラ)=写真奥=。カモメに近いアジサシという鳥の仲間である。10 月3日、戸田市内の人造湖、彩湖で撮影した。クロハラ22 羽、ハジロ1羽の群れが羽を休めていた。
 ヨーロッパやアフリカにもいるが、近い所ではユーラシア大陸東端近くと東南アジア方面を南北に移動し、日本には春と秋に立ち寄るだけの旅鳥。ハジロの方が大陸の少し奥の方で夏を過ごすので、日本に立ち寄る数は少ない。クロハラは日露渡り鳥条約指定種。ハジロはそれに加えて日米・日豪渡り鳥条約指定種、ボン条約付属書U掲載種にもなっている。
 両者の識別は、少し前まで目の後、黒い模様の形が大きなてがかりとされていた。今それは手がかりの一部に過ぎず、体の大きさと色、くちばしの形状などを総合して識別するようになった。図鑑の記載内容が変わった興味深い例だ。
 今秋、台風17 号通過とともに飛来した多数のクロハラ類が、各地で観察された。海なし県の埼玉に広がる水面も、彼らの貴重な休息地になった。


 



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