第103回 平成25年(2013年)9月5日掲載




ハチクマ


 昨年9月末、私は長崎県五島列島の福江島にいた。夜明けを待つ山頂周辺が明るくなるにつれ、次々とハチクマ=写真=が飛び始める。上昇気流を見つけて高くあがり、海の向こうに流れて行く。その数、多い日は1,000羽をこえる。
 ハチを好んで食べ、クマタカに似ているからその名がついたという説が、最もよく知られている。ハチたちの猛烈な攻撃をものともせず、地中のハチの巣も掘り出し、幼虫やさなぎを食べてしまう。
 なぜハチの攻撃に平気なのか。羽毛が硬くてハチの針を通さないから、ハチ毒に対し免疫があるからなどいろいろ言われるが、まだよく分かっていない。
 ハチクマの不思議はもうひとつ。日本を南下する渡り鳥の多く、例えばサシバというタカなどは、九州南部から沖縄などの島伝いに渡る。だがハチクマは別のルートをたどる。九州北部から大陸に渡り、中国・インドシナ半島を南下する。冒頭の福江島は、九州から大陸に向かう拠点のひとつなのだ。
 県内の当会探鳥会での記録は多くないが、熊谷市大麻生で数回現れているほか、さいたま市、川口市などでも、勇壮な姿を見せたことがある。

 
一部誤記があり、修正しました。




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