第107回 平成26年(2014年)1月9日掲載




ヘラサギ



 昨年11 月、川越市内に飛来して新聞紙上でも何度か話題になったヘラサギ=写真=は、その名の通り大きなくちばしがヘラのように平べったいので、餌を採るため水中に入れたくちばしを、左右にゆっくりと動かす。水の抵抗があるから、前後には動かしにくいだろうなと見ていると、くちばしを上にあげ、先端で捕えた獲物を喉の方に送り込む動作を繰り返す。その瞬間をねらって撮影してみたら、水滴に混じり、小魚が踊っていた。
 近縁種であるクロツラヘラサギは極東の限られた範囲に分布し、県内で数回の確認記録がある。それに対して本種は、ヨーロッパからユーラシアに広く分布するが、1970年10 月、川口市内に飛来したとの記録があるだけで、今回は県内2例目に過ぎない。
 ハンガリー、インド、北九州などでも見ているが、地元埼玉での出会いはまた格別だ。翼の先端近くに黒い部分があり、くちばしが黒みを帯びたピンク色であることなどから、幼鳥と見られている。
 6年前茨城県の菅生沼では若鳥1羽が冬を越し、3月下旬まで滞在したとのこと。川越市のトキ科の珍客は、いつまでいてくれるだろうか。

 



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