第111回 平成26年(2014年)5月8日掲載




コアジサシとハヤブサ


 昨年5月、さいたま市内で、コアジサシの群れを見ていた。この時注意していたのは、巣に近づかないこと、長時間居続けないこと、他の人の通行などを邪魔しないこと、人が多くなったら直ちにその場を離れることなどだ。日本野鳥の会では、野鳥の観察や写真撮影について様々なマナーを守るよう呼びかけている。野生と人との良好な関係を継続するにはどれも大切なことだが、「野鳥の会はマナーとかなんとかうるさいから、入会しない」とも言われる。現に、様々な場で出会う野鳥撮影者などの多くは会員ではなく、今や会員の方が少数派になってしまっている。それでも、そのために会員数が減ってもかまわない、マナーはうるさく呼びかけ続けなければならないと、私たちは思っている。
 観察を始めて間もなく、コアジサシたちがいっせいに飛び立ち、大きな鳥影が横切った。一瞬の後には、ハヤブサが1羽のコアジサシを捕えていた=写真=。数分で運び去ったが、それは荒々しく、残酷さが凝縮された、濃密な時間だった。
 こんな場面に身を置いて、マナーの大切さをあらためて考える。マナーは、人と野生との触れあい方を学ぶための方向性を示す、重要な道しるべだ。

 




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