第113回 平成26年(2014年)7月3日掲載




レンカク


  ある年の夏、レンカク=写真=が現れたという情報を聞いて、他県まで出かけたことがある。漢字で書くと「蓮角」。蓮などが水面を覆う沼や池に生息し、長い足指や爪を上手に使い葉の上などを軽やかに歩き回り、翼の一部に普段は見えない小さな角のような突起があることからこの名がついたという。
 長い尾まで入れた全長は50aを超える。頸の後ろの黄色が目立ち、美しい。インドや東南アジア、台湾などに分布し、日本には時々迷って飛んでくるだけの、比較的珍しい鳥だ。
 当会の記録によれば、県内では過去3回、2003年7月にさいたま市見沼区で、08年10月川越市伊佐沼で、10年7月さいたま市緑区でそれぞれ確認されている。初回と2回目の間が5年、2回目から3回目が2年、3回目から今年まではすでに4年たった。7月に2回出ていることから、「今年の夏あたりそろそろ観察されるかもしれない」と、まったく科学的根拠のないへ理屈(または願望)をもとに拙文を書き始めた6月、なんと川越市伊佐沼にまた現れたとの情報が届いた。数週間の差で、私は予言者になりそこなった。
 他県でかつて撮影したこの写真と、さいたま市内で観察された2回は、ともに成鳥夏羽だったが、伊佐沼の例は、成長程度は違うが、2回とも若鳥と見られている。

 




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