第114回 平成26年(2014年)7月31日掲載




ヨタカ


  夏の夜、キョキョキョキョと単調な声で鳴き続けるヨタカ=写真=。その声がキュウリをきざむ音に似ていることから「キュウリキザミ」、台所で朝食の支度を始めたように聞こえて嫁が起きてしまうことから「ヨメオコシ」など、多くの異名がある。夜、飛びながら口を大きく開け、虫を食べる。飛ぶ姿がタカに似ているので「夜鷹」という名がついたが、タカの仲間ではない。最近の分類では、カッコウやアマツバメの仲間に比較的近いとされている。
 東南アジア、インドなどで越冬。日本には4月中旬から5月上旬ころ飛来し、低山の明るい林で子育てをする。秋は9月下旬ころから渡りを始め、移動の時季には、県内平野部の公園などに立ち寄ることもある。
 宮沢賢治の短編童話『よだかの星』は、「よだかは、実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで・・・」と始まり、皆に嫌われ、居場所を失い、ついに星になってしまったというとんでもないいじめの話。昼の間は寝ていることが多いが、たまにひらく目は大きく、なにもかもすべてを静かに反射している。
 近年、多くの種類の夏鳥たちが数を減らしている。生息適地の自然豊かな林が開発されることが多いヨタカも、そのひとつ。「ところどころ味噌をつけたような顔」を大切にしたい。

 




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