第120回 平成27年(2015年)3月12日掲載




ミコアイサ


  いつも岸から遠い水面にいるミコアイサのオス=写真=が、珍しく近くの岸に上がっていた。ひときわ目立つ白い体に、要所をしめる黒が鮮やか。白い清楚な衣装が神子(みこ)さんを思わせることからこの名がついたとも言われる。「アイサ」はカモ類の一部の名前。古代には男の神子さんもいたらしいが、普通は女性と思うだろう。ところがミコアイサのメスは頭や背が茶褐色。白い衣装はオスだけ。つまりミコアイサのオスは「男の神子さん」、メスは「ミコさん衣装ではないミコアイサ」ということになる。ややこしい。
 近ごろは、目の周りの黒色部がジャイアントパンダの顔を思わせることから、「パンダガモ」と愛称で呼ばれている。
 ユーラシア北部で繁殖し、ヨーロッパ中部から中国東部、日本などで冬を越す。日本では北海道で少数繁殖するが、大部分は冬鳥として飛来する。
 埼玉県教育委員会が昭和53年(1978年)に発行した『埼玉県動物誌』にミコアイサは、「狭山湖で捕えた記録がある」とあるだけの数少ない鳥だったが、近年目にする機会が増え、私のフィールドのひとつ、戸田市などに広がる彩湖では、毎年のように観察されている。
 3月、ミコアイサなどの水鳥たちは北の国に帰り始める。季節がゆっくり確実に、また4分の1回転する。

 




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