第123回 平成27年(2015年)6月20日掲載




マミジロキビタキ


  毎年春と秋、渡り鳥たちが日本列島に沿って移動するのに合わせて、多くのバードウォッチャーが、日本海の島々に移動する。本州ではなかなか見ることができない鳥たちに会うことができるからだ。私が訪れたことのある島だけでも、山形県飛島、新潟県粟島、石川県舳倉島、山口県見島、長崎県対馬島の5島に及ぶ。
 島の鳥たちの、数々の思い出の中からひとつを選ぶとしたら、舳倉島で出会ったマミジロキビタキ=写真=を白眉(優れた者たちの中でも最も優れた者の意味)としたい。駄じゃれをお詫びしながら話を進めれば、キビタキに良く似ていて、眉が白い。黄色、黒、白の衣装が美しい。マレー半島で冬を過ごし、ロシア南東部、中国北東部や朝鮮半島で夏を過ごす。その地理的な関係から、主に日本海側に、数少ない旅鳥として立ち寄る。
 ところが、埼玉でも、1980年6月に所沢市で観察された情報があり、2001年5月末にはさいたま市で写真撮影された記録が、当会の会誌『しらこばと』2002年1月号に残されている。
 梅雨に入った6月、森や林は静かになっている。それでも、こんな思いがけない来訪者がどこか近くにいるかも知れないと想像を膨らませると、根拠が薄いことを承知しながらも、少し楽しくなる。

 




写真館入口に戻る

読売連載入口に戻る

前に戻る

次に進む