第124回 平成27年(2015年)7月18日掲載




セッカ


  夏の太陽の容赦なさに、誰もが日陰であえいでいるのに、撥ねかえすように飛びながら、草原で鳴き続けるセッカ=写真=。全長13a。スズメより小さいが、声はよく響く。
 多くの図鑑に、「繁殖期のオスは、上昇するときにヒッヒッと鳴き、下降しながらチャッチャッと鳴く」とある。飛びながら、こんなに違う2種類の鳴き方をする鳥は、珍しい。
 一夫多妻で、オス1羽の縄張り内に、メスが守る巣が複数ある。オスは「ヒッヒッ」と鳴きながら縄張りパトロールに飛び立ち、いくらか高度が下がる時も「ヒッヒッ」と鳴く。しばらくすると鳴き方を「チャッチャッ」に変え、急降下急上昇をくり返したりする。この時は上昇時にも「チャッチャッ」と鳴き、やがて草原に戻る。
 いろいろ変化はあるが、大ざっぱに言うと、パトロール前半には「ヒッヒッ」、後半には「チャッチャッ」と鳴くことが多い。その間の細かい上昇・下降のたびに、こまめに鳴き方を切り替えることはない。つまり、全体的に大きく見た場合にのみ、図鑑の記述は正しいということになる。少し屁理屈かな。
 漢字では「雪加」または「雪下」と書く。夏にだけ目立つ鳥に、なぜこの名がついたのか、適切に解説した本が見当たらない。冬は、雪に覆われない暖地の草むらなどで、ひっそりと暮らす。雪に縁が深いとは、思えない。

 




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