第128回 平成27年(2015年)12月12日掲載




タゲリ

  さいたま市などに広がる見沼たんぼには、貴重な自然環境が色濃く残されている。そこに生きる野鳥について講演することになり、準備のため手元の資料整理を始めた。
 さぎ山記念公園、見沼自然公園とその周辺で毎年正月初めに開催している探鳥会は、1889年から26年間27回続いている。そのリストによると、近年減少傾向にある鳥は、コサギ、タシギなど6種。その中でタゲリ=写真=は、かつてこのあたりではシンボル的な存在だった。
 全長約30a、冠羽が長く、背の緑、紫、赤紫などの金属光沢が美しい。チドリ科。飛び立つときに「ミュー」と猫のような声で鳴き、先端が丸みを帯びた翼でふわふわと飛ぶ。群れでいることが多い。ヨーロッパからユーラシア大陸に広く分布し、日本には主に冬鳥として飛来する。
 2002年までの前半14回はほとんど毎回観察されていたが、その後の13回は、4回しか観察されていない。
 少し湿った田んぼや草原で、土の中のミミズなどを食べる。その様な環境が少なくなったのだろうか。見沼田んぼの乾燥化が進んでいるかどうか、数字的な裏付けは持ち合わせていないし、減少傾向が見られる地域は、実は見沼田んぼだけではない。
 失ってから大切さに気づく事例のひとつ、ということにならないことを願っている。

 




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