第132回 平成28年(2016年)6月11日掲載




ゴイサギ


  日没が最も遅くなる季節が近づいている。ようやく暗くなりかけたころに沼や川の近くを通ると、「クワッ」と鳴きながら、大きな鳥影が上空を通り過ぎることがある。ゴイサギという夜行性のサギだ=写真=。頭と背が濃い紺色、虹彩が赤く、頭には白い2本の冠羽がある。なかなかすっきりとした配色で、ある意味気品も感じさせるせいか、鎌倉時代初期の『平家物語』に、醍醐天皇の言葉に従ったので「五位」の官位を与えられ、「五位鷺」と呼ばれるようになった、との話があるという。
 ゴイサギの幼鳥は、親とまったく違う羽色をしている。全体が褐色で、明るい黄褐色のまだらが多くあり、それを星模様と見て、「星五位(ホシゴイ)」と呼ぶことがある。写真の左下がそれ。幼鳥から成鳥になる途中には、その中間的な模様を見ることもあるが、親と子の羽の色がこれほど違い、正式な名前ではないが、子に、親とは別の名前がついている鳥は、珍しい。一般の方から、ホシゴイの写真を添えて、何という鳥かと問い合わせをいただいたこともある。
 
冒頭の夕暮れ時の鳴き声に話を戻すと、その声から、「(ヨ)ガラス」と呼ばれることもある。イッパイサギ、ゴヨドリ、バカサギ、アカゴドリ、セグロサギ、ツキヨガラスなど64以上の俗名があると、清棲幸保著『野鳥の事典』では紹介されている。なんと名前の多い鳥だろう。

 




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