第134回 平成28年(2016年)9月3日掲載




コアオアシシギ


  8月にはすでに秋の渡りが始まっている。例えば昨年8月21日、さいたま市内、休耕田の水たまりに、コアオアシシギ(小青足鷸)=写真=が、涼し気な姿を見せた。
 標本を仰向けに寝かせた状態で測るくちばしの先から尾の先までの長さを「全長」と言い、鳥の大きさを表すひとつの数字になっている。コアオアシシギは約24a。身近な鳥ではムクドリがやはり約24a。体形は大分違うが、シギとしてはかなり小さいことが分るだろう。「コ」のつかないアオアシシギという鳥もいる。そちらは約30a、しっかりと大きい。
 直線的に細長いくちばしと、青みを帯びていると言えばそうかなという感じの、黄緑色の足。夏の間、中央アジアからヨーロッパ南部の広い地域で子育てをして、冬はオーストラリア、インド、アフリカ南部などで過ごす。その中で、繁殖地の東端近くとオーストラリアなどを往復するものが、春と秋の渡りの途中、日本に立ち寄る。古い文献では「まれな旅鳥」とされている。海に近い水田などで見られることが多く、海なし県の埼玉では多くない。昨年は1羽だけで数日滞在し、ある日ふいっと南へと旅立った。
 8月中は、シギ・チドリの仲間、エリマキシギ、ムナグロなどが水辺に、9月には、エゾビタキ、ノビタキなどの小鳥たちが、林や草原に姿を見せる。カモの一番手、コガモも飛んでくる。日本だけではなく、地球的規模で、渡り鳥たちが移動する。私たちはその一端に、今年もそっと触れさせてもらう。

 




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