第140回 平成29年(2017年)3月11日掲載




コハクチョウ


  この冬も、県内各地にコハクチョウが飛来した。比較的珍しいこととして、さいたま市内の住宅や学校に囲まれた小さな沼にも、1羽舞い降りた。日本海側の大雪が連日報道された1月末ごろのことである。 
 この沼にコハクチョウが訪れたのは、私の記録によれば、2001年12月以来、ほぼ15年ぶり。その時は、まだ幼い1羽が親とはぐれて飛来し、数日後に姿を消した。

 今回は成鳥。人々の注目を集めながら、水底に首を伸ばして、自分で餌を採っている。
 それが時々見えなくなる。どこに行っているのかと気にしていたら、なんと、私の野鳥観察地のひとつ、さいたま市から戸田市などにひろがる彩湖で、力強く羽ばたいていた=写真=。どうやら彩湖と沼を行き来しているようだ。
 それ以来、沼の遊歩道を通ることの多い家人と、「今日は見えなかった」「うん、彩湖にいた」などと情報交換する日々が続いた。1羽のコハクチョウが、私たちだけではなく、多くの人たちの楽しみになった。「あれは天然ものですか」と尋ねられ、「自然に飛来したコハクチョウです」と話したこともある。「天然もの」とは面白い表現だが、言いたい意味はよくわかる。
 姿を見かけなくなったのは、春が近づいた2月末頃。1ヵ月ほどの滞在だった。無事に元の群れに合流し、北国に旅立ったものと思っている。
 3月14日火曜日の朝、今年初めて、ヒバリのまだ短い歌を聞いた。

 


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