第143回 平成29年(2017年)7月1日掲載




ムラサキサギ


  6月11日(日)、さいたま市西部、荒川河川敷内の田植えはほぼ一段落していた。早い田んぼでは、稲の背丈が高くなり始めている。そこに、遠来の鳥が舞い降りた。日本では南西諸島に棲む大型のサギ、ムラサキサギ=写真=だ。最大で全長90a、翼を広げた幅は1b50aにもなり、国内ではアオサギに次ぐ大きさである。
 英名も「Purple Heron」というが、鮮やかな紫色ではない。背面の羽色を「かなり暗色の紫色を帯びた灰色」、体の一部を「紫がかった赤褐色の羽毛」、あるいは「頸部と胴体の上面は色が複雑に混じり、紫みを帯びる」などと表現する本やサイトがある。微妙な色合いの「紫」である。
 今回飛来したのは幼鳥から若鳥に成長する段階の個体なので、全体に褐色みが強い。若鳥に成長し始めたしるしに、短い冠羽が見える。
 動作はゆったりしていて、アオサギより、さらに首の長さが目立つ。それをいっぱいに伸ばして狙い、ドジョウを食べる姿が、数日間観察された。
 南ヨーロッパ、アフリカ、インド、中国、東南アジアなどに分布し、日本では主に冬鳥または旅鳥だが、南西諸島南部で留鳥。西表島では繁殖していると言われている。
 埼玉県では、1990年4月戸田市と、2013年5月朝霞市で、共に成鳥が写真撮影され、当会の確認記録になっている。今回は3回目の確認記録である。本年5月には、この近くで、シロハラクイナという沖縄の鳥が10年ぶりに観察された。南の島の鳥の飛来が、2か月続いたことになる。

 


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