第29回 平成18年(2006年)12月21日掲載  



ウソ

 今年3月23 日付け本欄で、昨冬は冬鳥たちがなかなか渡って来なかったと、ツグミを例にあげて報告しました。ところが、この冬は状況が一変しています。ツグミたちは早々と渡ってきています。それどころか、ウソ=写真=などの小鳥たちが多数飛来しています。
 ウソは、オスの喉から頬がほんのりと赤く、フイッフイッと鳴く声が人の口笛のように聞こえます。古くは口笛のことをウソと言い、そこからこの鳥の名前がウソになったと言われています。さいたま市桜区の秋ヶ瀬公園には時折数羽立ち寄りますが、11 月18 日、突然多数飛来したとの情報が入りました。私が直接確認できたのは22 日。数羽ずつの群れに数ヵ所で出会いました。合計数十羽にもなるでしょう。12 月に入ると、同公園のウソの数は少し減りましたが、県内各地の会員から、更に、三宅島に常駐している日本野鳥の会のレンジャーからも、ウソが多数飛来したとの情報が届きました。正に冬鳥異変です。 群れの中には、北海道や本州中部以北の亜高山帯で繁殖するウソという亜種と、サハリンで繁殖するアカウソという亜種がいます。普通は冬の間暖かい地域に南下するウソの群れの中にアカウソが少し混じるのですが、今回は、アカウソの方が多いように見えます。昨冬ツグミたちが渡って来なかったのは、北国の餌が豊富だったからという仮説を考えました。逆に今冬は、標高の高い地域や北海道で餌が極端に不足しているのでしょうか。アカウソが多数飛来しているということは、サハリンでもやはりそうだということでしょうか。その原因は、そして今後に残す影響は・・・・いろいろ考えながら、観察を続けています。           

 


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